長く入院している母が、また転院する。だが、徐々に回復に向かっているので、暗い気持ちという訳ではない。僕が住んでいる街と、母が今、入院している場所に少し距離があることが、お互いを不便にさせているだけだ。今回は山口の宇部空港から、母の病院に向かう。
道中、雨のバス停でご一緒した、ロマンスグレーの老紳士に、僕の古ぼけたスーツケースを褒めていただいた。短い時間だったが、旅好きの先輩の話はとても興味深く、いつもの、癖みたいになってしまったスマホいじりとは違って、バス待ちの時間つぶしにはもったいない気もした…。ただ、僕はこれから旅に行くんじゃないと、なぜか、その老紳士には言えなかった。。
雨の日にこいつを引いての移動はややブルー。空港に向かって久しぶりに乗る電車はレッド。そして、お腹の調子はやや黄色信号だ。旅のお供の正露丸も忘れてしまった。やはり、今回は旅じゃないな…。しばし、バナゴンとはお別れ。行ってきます。